格ゲー用パッドとか

少し前に一部で話題になっていたPowerA Fusion Wired Fightpadを入手したので、レビューをして行こうかなと思います。丁度スト5がCE、グラブルの格ゲーも出たタイミングでもありますし。

PS4はPC用のUSBパッドが繋がらず、専用のものが求められます。その割に、格ゲーでよく使われる正面6ボタンのパッドは国内では実質HORIのファイティングコマンダー一択の状況となっています。自分は昔からサターンパッド(以下サタパ)ユーザーなので、PS4では本格的に格ゲーは無理だと諦めていました。そうこうする内にPS5の影も見え始める時期になって、海外のメーカーがサタパに影響を受けたパッドを出すということで買って見たというところです。

あわせてこれまでPS4用に6ボタンパッドはいくつか買ってきたので挙げて行きます。ただ、前提として元ゲーセン勢(アケコン勢)で、サタパからパッド勢になってツナイデントやPS2版、シーマイクコントローラー、USB化基盤交換版等使い続けていたので、形や質感の好みに偏りはあると思います。


・セガサターンパッド

今回のパッドを説明するにはまずサタパについて触れる必要があるかなと。 名前の通り、セガサターンに標準で付属していたパッドです。当時格ゲーブーム真っ盛りだったのもありますが、格ゲーと相性が良くセガの周辺機器の中でもファンの多いコントローラーだと思います。ツインスティックをタニタの社長が出そうとしたと言う話もありましたが、あの頃のセガにはやっぱり魅力があったなぁと。少しマニアックになりますが、サタパは十字の裏が直接ラバースイッチに当たるのではなく、十字の裏に半球状の窪みと中心に軸があり、パッド正面にそれと対になる穴の開いた半球状の盛り上がりを基部パーツで挟みこんで固定し、基部がラバースイッチを押すと言う仕組みです。一見用途に対して複雑に見えますが、半球状の機構が噛み合ってスムーズに動くことで、斜めも含めて滑らかな入力感触を生み出しています。サタパの十字の機構や全体のボタン類についてはメガドラの6Bパッドの機構が同じで事実上のサタパの先祖になります(が、個人的には本体が小さすぎる上、同じ機構ながらストロークがやや深く感触も柔らかく感じられるため苦手でした)。また、初期メガドラパッドでは基盤の裏側に十字入力用のプリントがあり、正面の入力を軸を通して反転させて入力させていました(3ボタン版にはコストを抑えるためか、外見が同じでも反転させないタイプもありました)。その頃十字型のキーは任天堂かライセンス品にしか使えないと言う噂もありましたが、セガはこの辺りの機構のこだわりがあるらしく、そうした経緯を経たことで、絶妙な感触のサタパが生み出されたようです。


・PowerA Fusion Wired Fightpad

というわけで、今回のメインです。どこまでが商品名かわからないので米アマの商品名を掲載します。セガサターンのパッドに影響を受けた十字キーと正面6ボタン構成のパッドです。Switch、PS4、XBOX用が出ています。十字は円形で、指を滑らすのではなく指全体を傾けて押す派としては、斜めに当たる部分に指が乗る円形の方が使いやすく感じます。オリジナルと比べると十字とボタンの間隔がやや広いです。

で、買って早々にバラしました。正面の蓋(写真では青色の部分)が磁石で止められていてパカッと簡単に開けられ、その下に正面からねじ止めされています。基盤は十字とボタンで分離しているので、基盤をサタパに移植するのは難しそうです。あと、文鎮を長さ3cmぐらいに切ったような四角柱の重りが左右に入っています。

十字の機構としてはサタパを踏襲していますが、機構が同じでもストロークが深くなるように軸が長く、嵩が増して作られているので、感触はオリジナルと比べると見た目の割にぐにょぐにょしていて、メガドラの6Bパッドをちょっともっさりさせたような感触(わかりにくい例え)に思えます。それでも回転系や斜めが入りやすく、妥協できなくはない出来です。
因みに、ボタンにもややクセがあり、角が丸く気持ちもっさりした押し心地なのもあって、この辺りは海外メーカーの詰めの甘さなのか指のパワーで解決か好みの違いなのかというところです。格ゲーは同時押しも多いので、ボタンのエッジはフラットか立ち気味であって欲しいと思います。

無難にできていると思う反面、自分はどうにも気になってしょうがないので、届いたその日に改造し始めました。単に十字の軸を短くするだけでは引っ掛かりができてしまうので、この方法はスムーズに動くための作業が多そうでやめました。
そこで、オリジナルと見比べていると、おおよそ十字も基部も同じぐらいのサイズだったので、いっそ移植できないかなと思いつき、PowerAパッドのラバースイッチの乗る基盤用の足(4箇所のネジ受けと位置固定ピン)を短くして解決しました。おおよそ十字の基部パーツの枠として立っている板と同じ程度の高さまで削ると丁度良さそうです。(ネジを絞めすぎるとラバーが潰れるようだったので、基部の枠板よりもやや高いぐらいが正解だったようですが)
そんなわけで、十字の感触はほぼサタパ準拠にできました。改造は自己責任なので、数千円をドブに捨てる可能性を考えると最初の状態で妥協しても良いかもしれません。

追記です。このパッド日本からの購入が多くなって対応できなくなったのか、いつの間にか米アマから日本に送れなくなっているという話を目にしました。個人輸入ができなくなると入手難度が上がりますし、Razerのパッドのように日本のアマでも普通に売られると良いのですが・・・。


・ファイティングコマンダー

日本のHORIの出している正面6ボタンパッドです。値段も手頃で、他に選択肢がないのもあり、国内ではほぼこれか純正DS4かになっているように思います。
十字は十字形で、大きさはDSよりやや小さい程度で見た目は問題なさそうですが、実際に触っていると感触が硬く左下の入力が妙に抜けます。慣れるまで指が痛くなり、慣れても左下が漏れやすいです。なので何となく十字型のキーは斜めが入りにくい気がしてしまいます。ボタンの方はエッジが丸すぎもせず間隔が狭めなのも含めて押しやすいと思います。
総じて使えなくはないパットですが、気になる点に都度手を入れていった結果、自分の持っている物は原型を留めないほどに改造されています。左側の持ち手を切り落とし、十字の左下周辺のプラを削り、パテで左下部分を作り、入力漏れが出にくいようにいじっています。


・モーコンパッド

結構前に個人輸入で購入しました。値段もそれなりにしましたが、全体的に艶のある面とマットなラバーが対比されていて高級感があります。十字キーは十字形で感触はコリコリしていて丁度いいです。十字の大きさはDS4と比べるとやや小さめでファイティングコマンダーと同程度かやや小さいぐらいです。
それだけであれば十字になれれば使いやすいかとも思ったのですが、ボタンに癖があります。角が丸いのとカチカチと鳴るスイッチタイプなことで、同時押しが無駄にシビアに感じ、使わなくなりました。


おわりに

レビューをしようと思って記事を書き始めたはずが、気づけば機構の話や改造の話の割合が多くなってしまったような。正面6ボタンパッドはこのほかにも、Mad CatsやRazer Raionなどもありますが、この辺は試してはいません。

最後に、セガ公式でその時のコンシューマ用として、PS3版(これはUSB版で行けましたが)、PS4用のサタパを出してくれれば話は早いんですけどね・・・。ライセンスしてPC用の無線パッドは出ているようですが、コンシューマ専用のは出す気配はなさそうですね。アケコンからパッドへというのが最近の格ゲーの流れですし、セガファイティングパッドとか言って売れば世界的に一定の需要は見込める商品だと思います。