GWに入ってしまいましたが、前回のエントリーでネットワークオーディオについても構築していくようなことを書いていた通り、4月はネットワーク関係の見直しや環境整備をしていました。
最初に結論を書いておきます。
PCを使用したネットワークオーディオは音質を求めて手を尽くすことでそれなりに向上は見込めます。ただ沼すぎるので、コスパを求めるならほどほどで構築するか、PCとDAC直結に留めておくか、あるいはSoundgenicにプレイヤーやDACを繋ぐか、プレイヤー兼DACや上位のDAP等のPC以外の方向に行くのが良さそうです。というのも、最近は安価なDACでも音質はそれなりに良く、音源もロスレス以上のものが月1000円程度のサブスクリプションで聴き放題です。これらを組み合わせれば、およそ不満に思うことは少ないのではないでしょうか。
なので、ここから先は沼に自ら進んでしまうような人向けです。地味で効果の不確かな環境整備よりも、ヘッドホンやイヤホンを新調した方がよほど楽しいし効果が大きいと思います。ネットワークはこだわり始めると途端に物量(予算も)が増えるので利便性を求めているようで趣味性が優っているようにも感じられます(複数システム混在のスピーカー環境で普段の操作がタブレットでルーティング切り替え等も含めて完結するというのは魅力だと思います)。何を導入するかは自身の環境に合わせて検討するのが良いと思います。
その先を目指す場合、PC周りは内部の機構から電源からUSBから何かにつけてノイズは切っても切り離せません。最近のPCオーディオはネットワークも使用してこれらを切り分けてアイソレーションを得た結果、音質という意味では専用機に迫っている、または部分的に次のステージにあるという状況を知り整備しようと決めました。
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・ネットワークプレイヤー(PCオーディオの場合にはPC+DAC)
・NAS(必要に応じて)
・スイッチングハブ
・LANケーブル(必要な本数、ピンキリ)
・メディアコンバーター(SFPを使用する場合)
・各種電源(必要に応じて)
この辺がネットワークオーディオの構成要素だと思います。これを全てそれなりのものを揃えるだけでも実にピュアです。予算によって構成は変わりそうですが、メーカーにこだわったり、Direttaを試したいとか、光アイソレーションを試したいとなると一気に予算が上がっていきます。
PCオーディオをネットワーク化する場合には、PC→DACは使いまわせますが、ネットワーク化するメリットがないと意味がありません。自分の場合にはヘッドホンメインで、PCの前に座って聴くスタイルのためタブレットで操作したり、複数システムをRoonで切り替えてどこでも音楽が聴けるというのにはそこまで魅力を感じていません(いずれは部屋を跨いだりスピーカーを含めた構成もありだとは思いますが)。
なのでPCオーディオに求めるのは、汎用性を持たせたままの高音質化です。具体的にはRoon Coreを担当しつつ、そのほかのストリーミングサービスやプレイヤーを試したり、ネットワークを利用した最近の音質向上の技術を試したいということになります(その結果それなりのプレイヤーが買えそうな投資になりそうですが)。純粋な音質ではおそらくネットワークプレイヤーを中心とした構成の方がシンプルで良いのではないかと思いますが、あれやこれや試行錯誤する楽しさも味わいつつ、どこまで追いつけるかというところでもあります。
すでにDACやアナログ周りがある以上は、ネットワークプレイヤーで構成するとDACが浮いてしまうというのもPCオーディオの根幹にあると思います。DAC買い替えのタイミングであれば、思い切ってPCを切り離すのもありだと思いますが…。
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Roon
Roonはローカルのデータと一部の対応している音楽ストリーミングサービスを統合的に扱うことのできるネットワーク対応の音楽プレイヤーです。年額1万円強のサブスクのほか、7万での買い切りが選べる有料サービスです。お試し期間があるので、気に入れば継続し、必要性がなければ止めることもできます。最近の流れとはいえ、音源ではなく再生アプリのためにサブスクでお金を払うのは中々に抵抗感があります。
特徴は、メイン処理を担当するコア、再生用のリモートプレイヤー、機器を繋ぐためのブリッジのように、複数機器にまたがって構成することで、RAATというRoonの伝送プロトコルを使用した処理の一旦を分担して動作が安定したり負荷が分散するということのようです。コアの所属しているネットワーク内にある機器が認識されるので、プレイヤー側からどの機器を使うかのルーティングもできるため、多数のシステムを持っている場合や、タブレットだけ使って操作できたり、複数ルートのDACを同時に再生するというようなことができる自由度が高さが売りです。
実際に試すまでは解説サイト等を読んでいてもいまいちピンと来にくいですが、TIDAlなどの対応しているストリーミングやPCやNASに入っている音源をiPadやスマホで操作して聴ける、というイメージです。それぞれはネットワークにつながっていないといけないので、Wifiや有線LANで接続されている必要があります。すでにネットワークプレイヤーを使っていて、専用アプリを使っている場合もあると思いますが、Roonはその辺のPCとスマホを使ってそれを実現できます(音質は別として)。
コアはPCを指していると思って差し支えありません。スマホやタブレットはあくまでプレイヤー機能しかありませんので、Roonの機能を使うためにはPCや専用機にコアをインストールする必要があります。
それ以外は同じネットワーク内にあれば自動的に表示されるので、SettingからAudioを開いて使う使わないを選ぶだけです。表示されていない機器はネットワーク機能がないか、ネットワークに不具合が出ているということになります。ネットワーク機能がない機器をRoonで使うには後述のZEN STREAMがあると便利です。
また、2021年以降のAudirvana Studioでも似たようなことができます。こちらはMacでは定番だったアプリがRoonのようにサブスクになってストリーミングサービスに対応したものです。日本向けにはAudirvana本という買い切り版が出ていて、元来のようにローカルデータ用のプレイヤーですがRoonよりは割安で、スマホなどをリモコン代わりに使うリモートにも対応します。ローカルデータのみであればこちらも選択肢として良いかと思いますが、アプリの使いやすさや表示などはRoonが一枚上手です。
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ZEN STREAM
昨年入手していましたが、当時の自分の環境では効果を発揮しない気がしていて、中途半端に使うのもどうかと思って未開封のまま眠っていました(その後UD505のUSBが使えなくなって余計に)。ネットワーク関係を見直したことで、一時システムに組み込んでいました。
今更紹介する商品でもないかもしれないですが、特徴をざっくり言ってしまえば、ネットワーク機能のないDACをLANや無線でネットワークに継ぐことができる機器(ネットワークトランスポーター?ネットワークブリッジ?)です。形からしてZENシリーズの接続を想定していると思われます。
DACをネットワークに参加させるというのも機能的ですが、機器とPCを直接USBで接続することから解放するという意味もあります。PCオーディオの場合ノイズや動作の安定の問題は常に付きまとい、USBはその際たるものです。その解決の一つが、ネットワークを利用してUSB機器を繋ぐ最近話題のDirettaやUSB Bridgeと呼ばれる機器です。DAC自体がネットワーク上で動くものも多く、LAN DACと呼ばれたりもします。ZEN STREAMは5万円程でそれらのようにネットワークを経由しつつ、USBやSPDIFでDACを繋ぐことができます。通常はすべてのネットワーク(Air Playなども含め)につながりますが、物理スイッチでRoonなどのアプリを限定した排他モードでRoon Bridgeとしても機能しますので、機能の分散がキーワードな昨今のオーディオにおいては、Macでも使えるUSB Bridgeという意味ではお得だと思います(もちろん他の選択肢もいろいろありますが)。
そこまでしてUSBを使うのかという話ですが、自分はネットワーク機能を持つDACであってもUSBで差したほうが音に力やニュアンスが加味されて良いと思う質なので、できればUSBケーブルを使用しつつノイズ対策ができるこの手の機器はネットワーク環境さえ構築できれば使い出があると考えます(それで一応買うだけ買ってはいたんですが)。実際、ルーターに普通のLANケーブルで挿している間はiFi のUSBケーブルのGeminiでPCに接続している時とそれほど差はないなと思っていましたが、後にS100を経由した時に効果が出たように思います。
ただ、環境を整えるほどある種のボトルネックになりそうで(実際諸々環境を刷新しつつ確認していると、ZEN STREAMを挟まない方がクリアに鳴る場合もあり悩ましく)、いろいろ考えるとやっぱりネットワーク機能のないDACや機器をネットワークに参加させる本来の使い方のために使うべきだなと。LANのハブも無線ルーターと兼ねれば、ネットワークオーディオするだけであれば、既存のDACをZEN STREAMにつなぐだけですので割とお手軽です。
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オーディオ用スイッチングハブ(DELA S100)
最近のオーディオ関係は機能や負荷の分散(結果的にノイズ対策や音質向上)がトレンドです。その象徴的なのがRoonだとしても、それを形作るための中心的(中継的)なアイテムがオーディオ用のハブで、いろいろなメーカーからオーディオ用を謳った商品が出ています。今時有線のスイッチングハブを買うなんてとも考えてしまいますし、そもそもエラーチェックのあるLANまわりを変えて何が変わるのか、というのも一理あると思います。信号データ以外全てオカルトやプラシーボと切り伏せても良いですが、ノイズは計測されるものでもあるし、それが聴覚上に影響してしまうと言われるならば、やらずにモヤモヤするよりは、やって判断しようというのが自分のスタンスです。
BUFFALOのブランドであるDELAのS100はスイッチングハブに15万という酔狂な額ですが(上位機種はさらに数倍する)、比較的レビューが多く定番のようでもあったため本機を導入しました。ケーブルもある程度整えたのもありますが、PCに直接USBケーブルで差していた時と比べて、ネットワーク経由で音質が下がることなく、むしろDACを切り離した結果音が一回り大きく透明感が出たように思います。
他社の評判の良いオーディオ用のハブ(Silent AngelやEdiscreation Silent Switchなど)と比べるとS100はRJ45の性能はそれなりのようで、SPFという拡張性に対する付加価値重視のモデルとも言えそうです。
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光アイソレーション
ここまで来たなら、とS100とセットで語られることのある光アイソレーションも試しました。業務用や最近のスイッチングハブには、SPF端子がついていてここに様々なモジュールを差し込むことで、RJ45(通常のLANポート)や、光接続に変換することができます。本来はオーディオ用途ではありませんが、光ファイバーは電気的なノイズに強く(それゆえ長尺に向いている)、メタルケーブルから一旦光ファイバーに変換することでノイズがカットできるという理屈です。
5000円くらいのtp Linkのメディアコンバーターと600円ぐらいの3mの光ケーブルと、SPFモジュールも安いものは1000円位から、オーディオ用で使われてそうなのは6000円ぐらいのが2つ、合計すると値段だけなら7000円位、そこそこの質のものでも2万円弱(電源を入れるとこの限りではないですが)で揃えられるので、DELA純正のOP-S100と比べると1/3程度で試すことはできます。が、OP-S100も比較で試すと純正品の方が音が広く諧調がスムーズで豊かに感じるというか、言い換えると安価なものはSPFモジュールの性能故かやや音にコントラストが強めで、音の広がりが控えめなように感じました。それぞれの機器には電源があり別電源をつけられますが、電源を強化した分の色が乗るのも少しモヤッとします。それってファイバー化の前後の電力やノイズの影響なんだろうかと。
光ケーブルは長いほど音に良い傾向がでるらしいので、3mでは本領を発揮していないかもしれませんが、長尺が入手しやすいのもあってケーブルの長さにとらわれないのは機器の配置にも自由度が出てきます(メディアコンバーター用の電源が必要になるというか、機器が増えるほど電源を気にする対象が増えますが)。さらに、配置する場所によっても影響が変わり、システムごとの最適解を探すのはトライアンドエラーしかなさそうです。また、モジュールも沼のようで、価格も含めてピンキリあり音にも影響するというのを見てヤバいところに足を踏み入れてしまったなと感じています。場合によっては光化しない方がいい場合があるのも含めて、深淵だなと。入れる位置などの模索の経過については追って気が向いたら…
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Soundgenic
オーディオサーバーでもありトランスポーターとしても使える話題のSoundgenicを導入しました。アプリや反応は使いやすいとは言いにくいものの、新たにネットワークオーディオ環境を整えると考えた時には、NASでもありDirettaに対応して価格も3万からとなれば、Spotifyにも対応しているのでPCを使わないネットワークオーディオの入門用に最適だと思います。
ドライブを繋げてリッピングもでき、PCの代わりに使っていけるのでSoundgenic→Dacは手軽でコスパが高いと思いました。USBでDACをつなげることもできるので、ZEN STREAMの代わりにトランスポーター(ネットワークブリッジ?)として使うこともできます。価格的に本格的なトランスポーターには届かないとは思われますが十分多機能です。
音についても通常の無対策のPCよりは十分に良いと思います。Direttaによる伸び代もありますし。ただ、オーディオ用に整えたPCとSoundgenicでは、LANカードだけでお釣りが来るような価格差もあり(これで同等以下だとさすがにPC()となりますが)コスパは悪いですがPCをオーディオ用に整備することは意味があると言えそうです。PCだからノイズがあると言うこともなく、LANのクロック周りの影響も出てそうで前者の方が音に落ち着きと広がりと透明感があるように思います。オーディオグレードのLANケーブルが足りずに標準なのでまだフェアな比較ではないので、この辺は追々。
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アクセサリの電源周り
これもキリがありません。ネットワークを構築する過程で接続する機器が増えると、否が応でも電源が増えます。それに伴って電源ケーブルや電源自体に選択肢が生じます。
中古やポイントを使いながらS100とZEN STREAMにiFi のiPower Eliteを導入してみました。エルサウンドのリニア電源とも比較してみましたが、リニア電源は音の鳴り方がストレートで中低音に安定感があるのに対し、iPower Eliteはやや付帯音が多く感じます。代わりに情報量というかふわっと周囲に空間が広がる感覚があります。そのまま機器に繋げると少し音がソフトフォーカスになるようにも思え、iPurifier DC2をつけた方が少しスッキリしつつ広がりが出る感覚があります。さらに電源ケーブルも選び始めると定価では考えたくない額になりますが、iFiには最近アクセサリ方面でお世話になっています。
付帯音と言ったようにiPower Eliteは低ノイズと謳っていながら実はノイズが出ているという話も見たことがあります。ノイズをなくしてS/Nを向上させるということに対して矛盾しているものの、好みで言うとiPower Elite+iPurifier DC2は悪くないです。また、最近話題の窒素ガリウムを使用したACアダプターは両者の中間的な、やや高音に硬さや付帯音がありますが、低音はリニア電源とスイッチング電源の中間的な鳴り方に思えました。これはこれでノイズが出ていると言う話もあります。総じて、機器に付属しているACアダプターも含めて、スイッチング電源は付帯音が乗り、代わりにいい方向に働けば空間の広がりや情報量のように感じられるのかなと。リニア電源は素性が良い代わりにニュアンスが薄めに感じられます(正直なところこれのままで良かったのですが、昨年Eliteが発売されてから興味を持っていたので導入したのもあるので、じっくり聴き比べて使い分けていこうと思います)。
追記ですが、その後家の中のiFiアクセサリーは一掃されました。これだけ導入して書いておいて何ですが、ない方が生々しいというか本来の音が鳴っている気がして。
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まとめ
現在の構成とその過程は以下となります。「SFP」はS100のSFPポートを使用して光ケーブル使用、何も書いていないのはRJ45のメタルケーブル使用です。音源データはPC内のSSDに入っています。
傾向としては、メディアコンバータで光ケーブルを通すと音場が広がり、SNが上がったような感覚というか、ヘッドホンのシングルとバランスの違いに近いような、メタルケーブルにすると芯のあるどっしりした鳴り方に思えました。
構成1
ルーター
┣雑PC(Wifi)
┣タブレット(Wifi)
┗ハブ(S100)
┣SFP(光)→メディアコンバータ(OP-S100)→PC1
┗SFP(光)→メディアコンバータ→ZEN STREAM→DAC→アナログ
特に対策のないPC1のLAN接続の頃はしばらくはZEN STREAM活用も兼ねて模索してこの構成で落ち着いていました。ルータとハブの間にSFPを入れたりもしましたが、自分の環境ではPC前とZEN STREAM前の効果が好ましかったように思います。
構成2
ルーター
┣雑PC(Wifi)
┣タブレット(Wifi)
┗メディアコンバータ(tp Link)→SFP(光)→ハブ(S100)
┣SFP(光)→メディアコンバータ(OP-S100)→ LAN入力のDAC→アナログ
┗PC2→DDC(仮)→DAC→アナログ
LANポートの対策(LANカード)とUSBにiDefenderをしたPC2に変えて色々試してるうちにこの使用に落ち着いています。そもそもローカルデータしか再生していない(TIDALもQobuzも来ていないので)のもあり、ルーターハブ間のSFPの効果はそこまでではなかったですが、保険として入れることにしました。
ZEN STREAMを使用する限りはSFP経由の方が透明感や音の広がりは得られましたが、構成2になってZEN STREAMを通すと少し濁りが感じられて外しました。DACにポートがついてればLAN入力もありだなと思わされました。LANでもUSBでもいずれの場合にもDACの前に1段階設けることで音場が広く音が響くようになりました。
構成3(現状)
ルーター
┣雑PC(Wifi)
┣タブレット(Wifi)
┗メディアコンバータ(tp Link)→SFP(光)→ハブ(S100)
┣SFP(光)→メディアコンバータ(OP-S100)→USBブリッジ→DAC→アナログ
┣PC2(オーディオ用)
┗NAS(Soundgenic)
その後Soundgenicを導入して比べました。まだSFPの位置も含めて試行錯誤中ですが。
電源含めて色々確認作業が大変だったように思うものの、構成自体は書き出してみるとネットワークに参加できるデバイスがそれほどないのもあり、専用ハブにPC+αを繋いだだけのようなものでシンプルです。NASやネットワーク経由のUSBブリッジを導入したので構成3を追加しました。因みにどの工程が一番効果があったかは正直わかりません。強いていえば電源ですが、防具を各部位装備して行って結果的にステータスが上がってるような感じです。
ただまあ、試行錯誤が趣味性とはいえ、手を入れれば入れるほど、機能が分散されればされるほど箱や電源が増えて手間もお金もかかり、もっとシンプルにいい音で聴きたいと思う気持ちも出て来ないでもないです。
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おわりに
ネットワークオーディオにはローカルデータとストリーミングの2つのアプローチがあると思います。それらを統合するのがRoonに代表される最近の流れではあるのですが、両者に求められる機材が微妙に違うのと、音質を求めると日本でサービスしていないものが多いというのがややこしくしています。最近ではネットワークプレイヤーがオンラインサービスに対応していることが多いので、PCを廃するのが近道かもしれません。むしろ、PCを使用してオーディオの音質を求めるのは茨の道だと思いつつあります。
思えば、AmazonMusicHDやAppleMusicやMoraqualitasでハイレゾ音源に触れる間口が広がったことで、高音質に興味を持つ層は増えたと思います。ですが、スマホの種類による音質の限界やサービス自体の音質のイマイチさに気づき始めると(環境を整えると圧縮音源はなかなか苦しいと思うようになりました)、音質難民が流れる方向としてはシンプルなDAPやポタアンによるポータブル環境か、往年のプレイヤー中心の構成か、あるいはPCを中心としたオーディオの模索になると思われます。新参者としてはいろいろこだわりながらもピュアオーディオの世界には疎いので、ローカルの音源に乏しくプレイヤーという選択肢(ネットワーク含め)を最初から除外して自分のようにPCを基準に考えがちです。
そこで踏みとどまって、よりシンプルな方向で例えば各種ネットワークプレイヤーとNASに進んだり(Fidata(Soundgenic)+SFORZATOは追加機材なしでDirettaにも対応)、あるいはアジア系メーカーや、最近のSONYのフラッグシップDAPに進める人は賢いなと思います。DAPも上を見れば100万近いものもあったりしますが、何やかんやPCオーディオに音質を求め始めると、機材やケーブルや環境整備で結果的にそれくらい飛んでいってしまいます。それなら、10万台やその上のクラスの30万台のDAPは一見高く見えるものの、結果的に様々なヘッドホンを十分にドライブできるのであれば、ノイズの心配やケーブルなどの準備も最低限でよく、さらにローカルとストリーミングの両方に対応するという意味では安上がりということもあります。
ところで以前、今後はヘッドホンにも投資していくというようなことを書いた記憶がありますが、最近はヘッドホンはHD800Sのまま、環境を整備してどこまで伸びるのかに興味が移っている気がします。HD800Sは純正のケーブルだと音の輪郭が僅かに丸められて美しさ優先なところがあり、もう少しキレや透明感が欲しくなるところがあるのも実際で、短いケーブルが欲しいと思って買ったORBのClearForce(XLR4)で思いのほか透明感と鋭利さが出て(音の好き嫌いはあると思いますが)伸び代を感じたのも理由です。また、各社のフラッグシップモデルや高価格帯の機材をいろいろ聴いたりはしたのですが、それぞれに良さはあるとは思うものの、ある水準以上は好みや何を求めるかによって変わってきそうだなと。
自分としてはある程度の距離感を持って見通しよく取り巻くように音を鳴らす機材という方向で求めています(HD800Sのもつアドバンテージというか、その方向性で先にあるものは大分絞られていきそうですが)。なので最近の目標は、スピーカーを使わずにヘッドホンの向こうに広がる空間に生々しさを感じさせる環境を作ることになってきているように思います。
本来精緻に音を聞くことが用途のヘッドホンに対して矛盾しているようでもあるのですが、そのためのヘッドホン自体や、機材をどうしようかと調べたりしています。電源まわりの整備や高S/N(ノイズ対策)の追求による空間の透明感を求めつつ、エッジ感ではなく気配も感じるようなナチュラルな空間の広がりのためのや機材やケーブルの組み合わせなど考え始めると先は長そうだなと。ヘッドホンとしては、耳元にスピーカーを置くような型や静電容量型、平面ドライバといった既存のダイナミック型の外にあるものが最近気になっています。
話が逸れてきましたが、ネットワーク環境を見直すということが結果的にノイズを排した環境の構築につながって、目指す方向が見えてきたということです。