WF-1000XM3

丁度今売り出し中の完全ワイヤレスのノイズキャンセリングイヤホンです。品切れも出ているらしいですが、珍しく流行りものに乗っかってみました。

自分は普段ヘッドホンを良く使うのですが、夏の暑さの中ヘッドホンもしんどいのでノイズキャンセリングのイヤホンを探していました。昨年ゼンハイザーが完全ワイヤレスで音質のよいMomentum True Wirelessを出していて気になってはいたのですが、個人的にカナル式が苦手なことと、ケースで充電ができるとはいえ稼働時間が公称4時間なのが引っかかっていました。ついでに、イヤホンは移動中に使うのでノイズキャンセリングは欲しいなと思いつつ先延ばしにしているところに、7月に本機が発売されました。丁度ポイントやらも溜まっていたので試しに買ってみたという形です。

仕様

BT接続での完全ワイヤレスのノイズキャンセリングで公称6時間の稼動です。

外に向いている面の丸い箇所をタッチすることで操作が出来ます。
右側 1回タップ:再生/停止、2回タップ:曲送り、3回タップ:曲戻し、長押しでアシスタント

左側 タップするごとに、ノイズキャンセイング/環境音強調/なし のトグル、長押ししてる間環境音のショートカット

音量調整はありませんが、あると便利かなとは思うものの電車で移動中スマホをいじってたりするし、歩き始める前に調整もできるし頻繁に調整するものでもないので、直接操作で困らないしいいかなとも思います。(ついでに、普段使っているスマホに音量の物理キーがあるのでポケットに入れたままで操作できますし)

装着感に関しては、カナル式はやはり耳の穴に違和感を覚えますが、装着してしまえば割と安定してついている感じはします。押し込みながらひねるような装着法ですが、直接引っ掛けるようなことがなければ落とすことはなさそうです。

暑い時期以外は外出時に使用しているHD4.5BTNCは普段の通勤で必ず途切れる場所があるのですが、比べるとこのイヤホンは接続が安定しています。ただ全く切れない訳ではなく、人が多い状況では一瞬途切れることはありました。

ソニーのアプリHeadphones Connectを使用するとキーの割り当てやノイズキャンセリングの強さやイコライザーなどの設定とアプコンのDSEE HXが使用できます。ただアプリを入れてから接続がブチブチ切れるようになったので、色々設定を弄ってみたところ、アプデの自動ダウンロードの項目をオフかwifi時にすると今のところ安定しているようです。

音質、ノイズキャンセリング

ノイズキャンセリングは一部の音やアナウンスは小さめに残り、周囲の特に低音が気にならなくなります。音楽が自然に聴けるのであまり効いていないのかと思ってオフにすると周辺の音がこんなに鳴っていたのかと思うことがあります。

イヤーピースでも音は変わりますが、トリプルコンフォートという素材はシリコン素材と比べると音がクリアになる感覚はありましたが、自分の付け方が悪いのもあるとは思うのですが、入れようとするとガサガサしていて装着時にひねる時に擦れて痛い上に隙間が開き、どのサイズも安定してはまらなかったので耳が丈夫な人向けなのかなと思いました。結局最初からついていたシリコン中サイズので聞いています。

傾向としては中低寄りのナチュラルな印象で音場もやや広めに感じられ、ドンシャリではありません。
高音は空間性の広がりを感じさせますがややエッジがソフトです。外で聞くことを考慮して控えめということでしょうか。
低音は意外なほどタイトでエッジの立った重さのあるキックが鳴ります。現代的でボワつかない明瞭な低音です。

まだ聞き始めて1週間程度なのでまだ鳴り方は変化するかもしれませんが、印象としては低音の輪郭を残したままウェットにして高音をソフトにしたような感じというか、全体的にマイルドに包み込むような滑らかさがありますが、中低音のリズム系のメリハリは出ている感じです。一方で高めのスネアやハイハットは標準ではやや弱めな感じがします。本体の設定を変えられるアプリにイコライザーがついて来るので、好みに合わせて調整前提かもしれません。Brightにすると高音の量が一気に増えて派手な音になります。自分としてはBrightを元に低音を標準、それ以外は若干元より下げ気味に1Kから上を6.3Kがピークになるように前後に若干傾斜をつけるとクリアさが出つつ若干のマイルドさもあって丁度良い気がします。

イコライザーで設定できるのも含め、完全ワイヤレスのノイズキャンセリングでこれぐらい聞ければ必要十分以上だと思えます。個人的にはHD4.5BTNCよりもノイズキャンセリング状態では良い音だと思います。HD4.5BTNCもいずれ機会があれば書きたいとは思いますが、値段相応というかゼンハイザー的な中低音と立体感がBTNCで聞けるのは良いのですが、鳴っている音は全体的にマイルドでやや鮮明さに欠るため、リスニング用途としてはお世辞にも良いとは言いがたいので。

外使い用のヘッドホンやイヤホンはどこか妥協感が自分の中であったのですが、ノイズキャンセリングによって周囲の低音が薄まり音楽の低音がしっかり聞こえ、中高音も空間に広がりを感じさせて鳴るため、この機種は意外と移動中にBGMで紛らせるだけでなくリスニングできると思いました。ただ、電車等の外で使っていると明瞭な鳴り方に聞こえますが、音のない部屋で聞くには少し余裕のない鳴り方に感じられます。あと、耳に刺す関係でしょうがないのかもしれませんが、ヘッドホンと比べた時に音が充満していながら広がる空間はあるものの、常にもやが漂っているようで爽快感が出にくい感じがします(イヤーピースの影響もありそうですが)。とはいえ、正直な所自分はイヤホンのいい機種を使ったことがないので、いずれそれなりの質のリスニング用イヤホンも買ってみようかとは思います。

気になる点

タッチ操作はブラインドで操作するにはピンポイント過ぎて慣れの問題じゃなくインターフェイスとしてどうなんだろうと思います。物理ボタンでクリック感があった方が良かったなと思いました。

アップルもソニーもその他の企業も、物理キーを徹底的に排除したり、のっぺりしたデザイン優先で良く使う機能を見えないところに追いやりますが、省略はかっこ良いかもしれませんが、使いやすいとは思いません。機器はボタンや操作感も含めてUXだし機能美というか。ソフト上で処理できるから応用がきくとか新たな物としての設計が必要ないというメリットもあるのでしょうが、使う側からしたら何の手がかりもない場所を手探りで探す学習が必要だし、バージョンアップで使い慣れた機能が全く異なるUIに変わる事もあるし、物理キーと比べて慣れた後でも優れた操作感が得られるとも思えません。

あと不具合と言うほどでもないかもしれませんが、たまに左側(ノイズキャンセリングと環境音の切り替え)をタッチして効果音がしても反応しないことがあります。大抵ノイズキャンセリングしっぱなしなのでそこまで深刻でもないですが、つけたまま店に入る時に気付きました。一度長押しをすると直るようです。

ついでに、ケースの底が丸く自立しないのも若干気になります。ケース自体もう少しコンパクトに出来そうなのも。

まとめ

完全ワイヤレスで十分なノイズキャンセリングがあって音質もそこそこというバランスを考えると良い機種だと思います。どこか一つの要素だけ抜き出して評価する機種ではないというか、実質的な競合がほとんどないからこそ話題になってるのでしょうし。ただ、タッチによる操作感だけは正直微妙です。指先をぴったり本体の反応する箇所の上に浮かせてポンポンと正確にタップできるにはこの機種専用のどうでもいい技術の習得が必要な気がします(使っている間に慣れるとはいえ)。とはいえイヤホンでこれだけのノイズキャンセリングと音の鳴らし方ができるとなると、ヘッドホンのWH-1000XM3にも興味が湧いてきました。この分野ではBOSEとSONYの2強ですが、最近のノイズキャンセリングと音作りは出来が良さそうですので、一度手に取ってみると印象が変わるかもしれません。

公式サイト

https://www.sony.jp/headphone/products/WF-1000XM3/