iFi-Audio iDSD Diablo

本機は2月上旬に発売されたiFi Audioの眩しい赤い筐体が目を引くポータブル複合機です。4.4mmフルバランス出力でパワフルという話で予約して入手しました。
自分はiFi Audioはにわか勢なのでZEN DAC以来4.4mmの採用を積極的にしているメーカーとして気になっていました。1ヶ月ぐらい聞いて更に修正しました。

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概要

昨年末に価格帯も大きさもスペックも似ているmicro iDSD Signaureが出たばかりですので、矢継ぎ早のリリースのため比較して検討している人も多いことだと思います。偏ったレビューではありますが、Diabloを購入した人の意見として参考に見ていただければと思います。

iFiのラインアップに詳しくはないのですが、Microシリーズということもあり思っていたよりもコンパクトです。手持ちでいうと似たような形のPHA-2Aを少し狭くして伸ばしたような感じで、最近の21:9比率の大サイズのスマホを重ねると同程度のサイズ感です。ポータブル出来なくはない程度で卓上用としてはこぢんまりと見えますが、この筐体サイズでの大出力も売りのようです。

入力はUSBと3.5mm(光含めデジタル)、出力は6.3mmシングルと4.4mmフルバランスのほか、出力として4.4mmバランスのみとなっています。ZENシリーズ含めてそれまでのシリーズに搭載されていたPowerMatchやTrueBassなどの細かいスイッチ類やRCA出力も諸々オミットされて非常にシンプルです。

公式サイトがゲーミングPCにも通ずるような若干中二病を患っているので価格帯的に不安になる人もいそうですが、結論を最初に書いておくと、自分のように4.4mm好き(手持ちのヘッドホンをほとんど4.4mmにして、4.4mmのついたアンプも物色していた)で、明瞭さと分離感と立体感を求めつつ、できれば奥行きと力強さ(ある程度の低音の厚みや押し出し感)もほしい人にとっては感動的なDAC・アンプです。特に、HD650のようなひと世代前のヘッドホンでもメリハリのあるアタック感、見晴らしの良い空間、シャープな輪郭の解像で、あれ?これ10年前に買ったヘッドホンだよな?と自問自答したくなる鮮度の良さが良いです。もちろんシングル駆動でも同社のmicro iDSD Signatureと同程度の温かみのある鳴り方をします(キャラクターは若干違いがありそうですが)ので、シングルユーザーの期待にも応える複合機です。

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音の感想

バランス接続で聞いた音の感想としては、輪郭が鮮明で情報量が多く滑らかで解像感が高いです。他のアンプでは使っていなかったような場所にも音が入り込む印象で、結果的に他のアンプと比べて音像が大きく音が気持ち近づいたように感じられます。また音場は全方位に突き抜けるように広がるので狭いという印象はなく、全体的にスケール感の大きい音に包まれている感覚になります。加えて、UA3で更に初回特典のiPurifierを通しているのもあるのか、撫でつけたようにノイズ感のないクリアで緊張感のある空間です。よく言われる背景の黒さという表現にも納得がいきます。(せっかく特典が付いてきたので別のケーブルを使用しましたが、付属のケーブルでも十分だと思います)

また、「弾むような」とか「躍動感」と表現されることが多いのも、アタック感とシャープな解像感とこの引き締まった空間に、ソリッドで安定感のある低音も相まってそう感じさせるのかなと。確かな輪郭をもちながら、スピード感をもって音が広がるためヘッドホンの性能を底上げして感じられます。ドンシャリでもクール傾向でもなく気持ちウォームよりで解像感や鮮度が高い音ながら、前のめりというか圧のこもった張りのある音を鳴らすため自分としては満足度が高いです。

音が近めにまとまりやすいため、人によってはもう少し空間が広がってほしいとか、もう少し高音をシャープにヌケが良くあってほしいと思う場合もありそうです。あるいは低音のブースト機能がないので低音に量感がほしいと感じるかもしれません。ヘッドホンにもよりますが、勢いのある曲は弾けるようなノリがあり、メロウな曲は情感があるので、どんな音源でも淡々とすることがなく聞いていて楽しくなります。そうかといって大出力でも大雑把な感じはなく、生音のニュアンスなども緻密かつ繊細な表現で空間に臨場感があります。

シングルとバランスの差も明瞭さと音の配置に差が出ます。ケーブルにも寄るかもしれませんが、バランスだと音がバラバラになって再配置される分離感の良さで、輪郭がより鮮明に感じられます。一方でシングルは音のまとまりがよく温かみや落ち着きのある表現で、好みで選べるところですが自分としてはバランス接続の方が好みです。
据え置きと比べると少し窮屈だったり抜けきらなさに少し癖がありそうですが、ポータブルとしては十分な性能と言えそうです。気になればZENCANに4.4mmのラインケーブルでつないで補うのもアリだと思います。

ZENDAC、ZENCANとの比較
ZEN DACと比較すると、DACチップも含めて同メーカーのためか音自体の雰囲気や基本的な奥行き感は共通しているようですが、音のバランスとしてはDiabloの方が中低音がしっかりと鳴っていて、ZEN DACのほうが若干スッキリしてクールに感じられます。
音像のクリアさや鮮度はDiablo>ZEN DAC+ZEN CAN>ZEN DACで、左に行くほど一皮むけたように音が力強くメリハリが出ます。ゲインの順にも思えますが、Diablo内でもTurbo>Nomal>Ecoとなります。

音像の大きさやスケール感もDiablo>ZEN DAC+ZEN CAN>ZEN DACの順で、一度比べてしまうとZEN DACはあと一歩音像のスケール感やクリアさが欲しくもなります。ZEN DAC+ZEN CANはZENDACのスッキリした鳴り方を引き継いぎながらパワー向上によって一皮むけて鮮明ながらアンプを繋いだ分か残響感が一番強く、音場自体はこの組み合わせが広いようにも感じます。その辺りDiabloはメリハリがありながら空間の広がりや音の滑らかさ(解像感)やパワー感やクリアさが別次元に感じました。(micro iDSD Signatureも同様らしいですが、フルバランスの分伸びしろが一段階あるという感じでしょうか)

ポータブル運用
iFi純正でUSBAメス→USBCのOTGケーブル(3000から4000円ぐらい)も出ているので、スマホ(Xperia1II)に接続してポータブル運用も試しました。UA3では押し出し感や緊張感が強かったのが若干落ち着き、広がりのある透明感と爽やかさのある心地良い鳴り方をします。

総じて、見た目や名前に反して実際はウォームさと狭さは気にならないではないですが、ハイスペック優等生な雰囲気を持つ機種という感想です。ギャングエラーは如何ともし難いですが。

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ヘッドホンごとの印象


自分はゼンハイザーのヘッドホンを4.4mmで使用するのがメインなので順に試しました。音源はmora qualitasとAmazonMusicHDの排他設定で聞いています。ジャンルはロック、ハードロック、メタル、オルタナティブロック(ポストロック系含む)、EDM、最近の電子音多めのPOPS、特集でジャズやピアノあたりです。
DSD音源やMQAは試せていないのでこちらはいずれ機会があれば…


・HD25 HD599
HD25はシングルでは赤のオヤイデケーブル、バランスではonsoのケーブルで、YAXIのイヤパッドを使ってるのもあると思いますが、赤のアクセントが散りばめられて外見は微妙に統一感があります。ZEN DACでもリスニングとして聞かせる音を鳴らしていましたが、中低音に安定感が増しつつスケール感が広がった音で聞かせます。ただ、バランス接続ではNomalモードで鳴らそうとすると9時過ぎ程度のためギャングエラーに巻き込まれがちでボリューム調整がシビア(というか左に寄る)なので、シングル接続にするかアプリや本体の音量を下げるかEcoモードが良さそうです。ケーブルやアプリによってはパワー過多で低音が埋もれがちでもこもこした音になる場合があります。iFiのケーブルでスマホにつないでポータブル運用する分にはPC→UA3で感じたパワー過多が抑えられて低音も潰れず、メリハリがありつつ奥に抜ける空間を持ったリスニングが出来ます。HD599も同様にシングル接続のNomalモードで聞くと、どこか淡々とした印象だった599が透明感と暖かさのある音が鳴るので充実感があります(価格帯的にどうしてもやや平面的な鳴り方ですが)。ただ、改めてあれこれつないでいて思いましたが、HD599はZEN DACに数千円のケーブルでバランス接続するか、ZENCANにシングル接続するのでもそれなりに綺麗に鳴らせるようにも感じました。

・HD650
Diabloのパワーとバランス接続の効率もあり、300Ωでも問題なく鳴らせているように思います(Nomalモードで10時手前)。世代的に輪郭が柔らかくゆったりとした空間を持つヘッドホンですが、DiabloにCrearForceでバランス接続したところ、明晰な表現に元気のある硬さが加わった鳴り方をします(これをonsoに変えると若干まったりして低音の量と落ち着きが多少出ます)。勢いのある曲もしっとりした曲も心地よく、聞き始めるとつい長時間聞いてしまいます。HD700やHD800Sと比べると中低音多めで若干まったり感はあるものの、扱いの手軽さも含めて丁度よくも思えます。YAXIのイヤパッドをつけてスポンジを外した聞こえ方も650らしさが薄れますが厚みと鮮度があって面白いです。シングル接続だと分離感が抑えられてHD650らしい豊かでどこか懐かしい鳴り方をします。また、Diabloの元気さも良いですが、キャラクターを考えるとZEN DAC+ZEN CANのすっきりしっとりとしながらすっと奥に抜けていく鳴らし方もHD650に合っているように思いました。

・HD660S
手持ちではZEN DACでようやく本来の姿を見せつつあったHD660S(時々思い出したように使ってはうーん?と思ってHD650に戻す)ですが、本機へ接続しても同様に奥に抜ける空間が出てさらに音のベールが取れます。音量調整はシビアですが、パワー故か自分の手持ちのアンプでは一番鮮明な音に感じます。ただ、これは個体差なのかはわかりませんが、自分のHD660SはDiabloにCrearForceでつないでも高音は抜けるものの中低音が濃厚でもっさりしています。聴き込んでいるとこれはこれで繊細な表現や空間もありつつ、熱量のある温かい音を鳴らすので世界観に浸れますが、他のヘッドホンと比較するとアンプのパワーや相性だけでなくそもそも音が曇りがちです(以前AMラジオみたいという表現をどこかで見て納得したのをよく覚えています)。Momentum True Wireless2でも感じた曇り感はやはりHD660S譲りの方向性かなと思います。音量調整的にEcoモードにもしたくなりますが、そうするとさらに曇ってまったりするので悩ましく、やはり独特だなと。いろいろな場所のレビューを見ていると時々自分と同じような感じ方をする人がいるので、何なんだろうかなと。

・HD700
これまでに引き続きonsoのバランスケーブルでの接続です。ややシャープで音源によって刺さり気味になりますが、鮮度も解像感も良いです。Nomalモードだとキレがよく押し出し感もあって中毒性がある反面、音量や音源によってピーキーになり過ぎることがあります。HD660S同様ギャングエラーが終わるぎりぎり最低限の音量を狙うのが難しいですが、HD700はEcoモードでも低音に厚みがあり、高音もSR325eに通じる気持ちよさで、空間も適度に広く抜けるため心地良いです。音のスケール感や豊かさや濃さという意味ではUD-505→HA-1A mk2→ZEN CAN経由の方がありますが、Diablo直の安定感がありながら鮮度と爽快さのある鳴り方も良いなと。その後ポータブル運用も試していますが、若干のピーキーさは残るものの専用機にしてもいいかなとも思える爽やかさと広がりのある鳴り方をしていて、ポータブルでこんな音を聞けて良いんだろうかと少しそわそわしてしまうような体験が得られています(特にEDMやゴア、サイケ系などのビート感のある激しめの曲)。

・HD800S
付属のバランスケーブルで聞いている限り音像が近めで大きく回り込む関係かヘッドホンが本来よりも小さく感じられ(それでもゆったり包み込むので800Sならではの鳴り方ですが)、出音はスッキリと爽やかでオールジャンル鮮明に元気よく聞けているので万能感があります。HD700のNomalモードで刺ささるところがギリギリ踏みとどまったり、低音が留まるところがクリアになるので聞きやすさがあります。空間の広さや情感や音の厚みでいうと他のアンプ(手持ちではHA-1A Mk2にシングル接続など)のほうがあるかなとは思いますが、低音もそれほど不足を感じません。情報量の多さが心地いいです(心地よさは人を選びそうですが)が、距離感もあってかバランスはちょっと音がバラバラすぎて音像が散漫と感じる人もいそうです。シングルやEcoモードで音量を上げると少し表現が大人しくなりますが若干マイルドで聞きやすくなります。

・T1 2nd
600Ωと鳴らしにくいヘッドホン代表のようですが、バランスで接続している限りはパワー不足は全く感じません。6.3mmのケーブルをしまってしまったので試していませんが、シングルでも問題ないと思います。Diabloの躍動感や分離感とT1 2ndの高音の煌めきと中低音のマイルドさがちょうど良く噛み合って、明瞭さもありつつ豊かで充実感があるため聞きやすいです。HD700やHD800Sでは疲れてしまいそうなときには、ジャンルを選ばずずっと聞いていられそうな音というか、HD650同様に聞き始めると長時間聞いてしまうような安心感があります。個人的には手持ちの中でも相性が良い方に感じました。使い方として良いかはわかりませんが、音量を絞り気味にすればバランス接続のTurboモードも使えなくはないので、躍動感が増して面白いです(所々コンプレッサーをかけすぎたように音が滲んだり潰れている感覚があるので音源を選びそうですが)。

・SR325e(シングル)
方向としてはカチッとしたDA310USBの延長にあるような鳴り方にも思えました。そちらよりも空間の広がりと解像感と低音に安定感があります。ただ、このヘッドホンはやや高音よりということもあり、低音ブーストがついていないのもあり、HA-1A Mk2にシングル接続か、そこから更にZENCANを経由する方が中低音に充実感はあるかなという気はしました。ですが爽快感と臨場感を併せ持った鳴り方は癖になります。

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気になった点

PCやDAP、スマホと接続してそのままヘッドホンにつなぐのであれば大抵のヘッドホンを明瞭に解像感高くパワフルに鳴らすと思います。

オーディオシステムの一部として運用する場合には、RCAアウトがありませんが、4.4mm→XLR3ピンへの変換が最初から付属していますので、アンプに接続すればフルバランス環境を手軽に構築できます。公式で4.4mmオス同士のケーブルや、4.4mmオス→RCAメスなどのアクセサリを準備していることを思うと、時間が解決する部分もあるのかなとも思いました。

また、ヘッドホンや気分によっては味付け程度に低音をブーストすることが好ましい場合もあるので、音を調整する要素が一切ないのは良し悪しだなと(特にそれ以前のシリーズには皆ついているだけに)。全体的にややウォームになるのもあって、あるいは据え置き機のスッキリ見通しの良くS/N比の高い音を期待するとちょっと中途半端に聞こえる場合もあります。ヘッドホンの相性はありそうですが、可能な限りゲインを上げるとある程度は解決しますが…

加えて、噂も出ているように小音どころか運用に支障が出そうなほどギャングエラーが起こります。できれば標準のNomalで聞きたいところですが、バランス運用する場合(感度の差も考慮する必要がありますが)、150ΩのHD660SやHD700がギリギリギャングエラーの終了際で聞けるぐらいです。ビットパーフェクトを諦めたりEcoモードやシングル運用すれば余裕は出ますが…。Turboモードはどんなヘッドホンで使うんだろうかと気になったりします。平面駆動の試聴のために持ち運ぶのも良さそうでしょうか。

あと、将来的に気になることとしては、ZEN DACでHD660S付属の4.4mmケーブルで接続しているとガッチリ噛みすぎて、抜くときに先端の接点のリングも一緒にもげて引っこ抜けてしまったので(ZEN DACは価格を考えればしょうがないとも諦めがつきますが)、堅牢さに値段相応の期待をして良いのか不安な自分がいます。

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まとめ

現時点の結論としては、自分的には手持ちのどのヘッドホンを単体で繋いでも音が少し近め、固めながらそれぞれの良さや楽しさが味わえるDAC/アンプだと感じました。シングルではまとまりが良く温かい音、バランスではバラバラになった音に包まれる感覚が得られ、ヘッドホンの個性や好みで選べるため面白いです。接続部にはあまり良くないと思いつつ、ついヘッドホンをとっかえひっかえしたくなります。Diabloで聞いた後だと、手持ちのDAC/アンプでは解像感があって丁寧に鳴らす感はあるものの空間が奥に抜けずアンプが非力なUD505や、ノイズ感のないカチッとした音ながら分離感や解像感がもう少しほしい上にシングルエンド限定のDA310USBや、奥に抜ける空間とすっきり感はいいものの非力さの漂うポタアンのPHA-2Aはそれぞれ単体での運用はお役御免となりそうです。

ポータブルサイズでポン付けで据え置き並みの音質(価格はそれなりにしますが)が楽しめるので、ZENDACから入った人や4.4mmをメインにして手軽に良い音を楽しみたいという層に向いているのかなと思いました。あるいはコロナをきっかけに家で音楽を楽しみたくてもスピーカーは使えないのでヘッドホンという層も多そうですし、ある程度お金が自由に使えて、ヘッドホンや音には強くこだわるけど上流のシステムにそれほどこだわらない人にも良さそうです。ただ年々ヘッドホンはインピーダンスが下がり気味の傾向にあって、バランス化でさらに効率化されているのを思うと、大出力とかみ合わせが良くない感じは否めません。

国内メーカーがどこも4.4mmに消極的(アンプ自体)な今、iFiはアジアメーカーとともにオーディオ界隈では目立っている存在ですし、とりあえず最初の一台にはZEN DACを勧めたいものの、3万円クラス以上の有線ヘッドホンを使うのであれば、そのうちZEN CANが気になって買い足してとか、DAC性能にモヤモヤすることは目に見えてるので、それを思えばDiabloは十分選択肢になると思います。ただ、拡張性とシリーズ集大成のMicro iDSD Signatureとの比較は本当に悩ましいことになっていますが。価格改定後の価格は仕方がないとは言え別の選択肢が多数出てくるのでバランスメインで持ち運びたいとかでなければ、Micro iDSD Signatureが無難にも思えます。

因みに自分がこちらを選んだ理由はバランス教なのと色です。ビビッドなカラーが好きな上、朱色もなんだかオーディオ機器っぽくなく物々しくていいなと。購入したあとでRCA出力がないのを知って一時注文キャンセルしようかとも思いましたが、いざ届いて聞いてみると手放せなくなりました。

また、どういう理屈かは説明できませんが、バッテリーを積んでいてさらにiPurifierで整えているにも関わらず、USBケーブルで鳴り方が変わるのが不思議です。この記事内の印象はUA3の場合です。広めで背景の黒い空間とアタック感と力強さがあり、全体的に滑らかでありながらごく高音に尖りがあるのがUA3の傾向です。基本的にはこの鳴り方が一番好ましいと思うものの、一部のヘッドホンでは低音がもこもこに潰れていました。これが別のケーブルではHD25のバランス接続の際、Nomalモードでもパワー過多が薄まって聞けるようになります。例えば、SP Triple CではUA3のような静寂感や力強さは少ないものの、低音が若干減って霧状に音が取り巻くように広がって、HD25もHD599も気持ちよく使えるようになります(SUS380では気持ちハイ落ち気味で全体的にまったり感が出るし、エレコムのケーブルではパワー感とスケール感が弱まります)。この現象があるのでUSBケーブルでのハード調整は効果があると思うし、自分はHD599は割と硬めの印象で意外と悪くない評価ですが、それにしても不思議です。