興味はありつつも買う予定はなかったのですが、7月のAmazonのプライムセールの時に約半額の値段に釣られてAmazonカラーの599を買っていました。その後もセールのたびに13000-15000円で出てくる常連となっているので、比較的手を出しやすい機種と言えます。現在手元にある同系統は598無印、598CS、599SEです。
というわけで、せっかくなのでプリン系の細かいレビューでもしていきます。
いまでこそプリンという名前が一人歩きしている感じもなくはないですが、HD598は2万円台の上位ランクとして、HD595の後継として2010年に発売されたゼンハイザーの開放型のヘッドホンです。自分は2000年台後半にヘッドホンを探していた時に、試聴するとHD595が圧倒的に装着感が良く買うつもりでいましたが、気がつけばHD650を買って帰っていたという思い出があります。ですので、500番台を実際に購入したのは2012年頃になってHD598を購入してからとなります。当時、価格に対してそれなりにいい音だったHD598は特徴的な外見もあっていろいろなところでお勧めされていたのを覚えています。かくいう自分もヘッドホンの話題になったら薦めていた1人です。
2016年に後継機種のHD599が出た後、598の派生としてAmazon限定で2017年に廉価版のSRと密閉型のCSが発売されています。いずれもHD500系に共通する装着感の良いハウジングを持つ機種です。
HD598は上位機種と比べると1枚何か挟まったような若干篭り気味とも感じられる音で、音質自体もそれほど繊細でもないながら、音の配置される空間自体が広く感じられて、気持ちの良い臨場感がありました。これが599と派生でどのように変わったのかを見て行ければと思います。ヘッドホンは同じシリーズは大抵似た見た目をしているのでしょうがないとは言え、今回の記事は何となく全部同じじゃないですか、なコラが作れそうなマニアックなネタです。
比較にあたって、音源はAmazonMusicで各ジャンルの同じ音源を使用します。また、黒い599SEが焼きプリンカラーの599と同じという前提です。尚、無印598はイヤパッドがへたるまで7年使い倒していて、598CSは買って1年半ですが結局プリンを使っていたので頻度はかなり低め、599は買って間がないことからエージングの状態も3様で、経年で劣化していると思われるのと人の耳で聞いて主観で評価しているで参考程度に見ていただければと思います。
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比較と感想
使用したDAC /アンプはDENONのDA-310USBとTEACのUD-505です。
598:低音の厚みも派手さもバランスが良いですが、USBケーブルによっては高音は限界を超えてわずかに刺さりを感じる音源も出てきます(UA3だと特に)。アンプを通す事で空間に滑らかさが加わりますが気持ち音がふわついて感じられます。UD-505では繊細に鳴るからこそ全体的にエッジが丸くややぼやけて感じるというか、音が分離せずに塊化しているのとメリハリがなく篭り感が気になってきます。聞きやすい音だとは思うのですが。
598CS:アンプを通してもどこか浮ついた感じと言うか、598以上に落ち着きのない鳴り方をします。空間がやや狭く音が充満する分気持ち篭りに感じられ、解像感や滑らかさはやはり足りない感じがします。598からエッジの丸さをスパッと落としてシャリつかせたたような鳴り方というか・・・。
ケーブル類を調整しても粗さが残ったり、ピークがでたりパワー過多感が出てきます。隠し切れないローファイな雰囲気は如何ともしがたいなと。
599:全体としては滑らかでマイルドな鳴り方ですが、ここまできたらあと一声中音の広がりと高音の抜け感(爽快感)と分離感が欲しい感覚にもなります(2万クラスの機種に求める事ではないですが)。ケーブルによっては中低寄りのバランスが強調され、高音の主張が少なめで優しく大人し目の印象で篭りに一歩踏み込む感覚もありますので、できればUSBケーブルはそれなりのものが良さそうです。UA3では上品な滑らかさがありつつ適度なエッジ感もありクリアさも感じさせます。
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まとめ
HD598
全体的にそつのない鳴り方をします。ながら作業でほどほどに集中出来る感じというか、言い換えると音自体の主張も弱めで、今の時代に聞くには良くも悪くも聞き疲れしにくい普通の音がします。現在購入するならSRが同じ音なのであればそこそこ安くそこそこ何にでも使えるという点では値段相応と言えます。
HD598CS
は音の傾向は近いものの、改めて比べると個体差かもしれませんが、音質としては若干の残念感が拭えません(使用頻度が低いのでエージングがまだ済んでいないのかもしれませんがドライバのランクが低いようにも思えてしまいます)。その分密閉型なので若干周囲の音に左右されずに聞くことが出来るということとのトレードオフでしょうか。今までゲーム用や周囲の音が気になるときのTV用等で使っていたため、何となく同じような音だと思っていましたが、改めてリスニング用途で比較して見ると案外音が違うものなんだなと。また、598無印も派生も機器に直挿しで鳴らせる手軽さは599が出て以降も意義があると思います。
HD599
数字が変わっているだけあって個性は引き継ぎつつ音作りが異なっています。好みにもよりますが、より現代的な硬めの音として1段ステップアップ出来ます。ドンシャリと評価する人もいますが、周波数応答見たり聴感上音のバランス的には温かみのあるフラット寄りと呼ばれるHD650に近く、気持ち低音を強めて輪郭を立たせてメリハリをつけたような鳴り方です。もちろん、上位機種と比べると没入感が低めでのっぺりした鳴り方に思え、基本的にはクラス相応の鳴り方の機種ですが、中低寄りか、あえていうなら微ドンシャリでしょうか(サブベースは除く)。
今回の比較では599は同じ環境で聞く場合にわずかに感度が変わったためか音量の上げる必要がありました。全体的にクリア感が増し気持ち解像感も上がっていながら音のメリハリや立体感もあるので、頻繁にセールされる価格からすれば悪くない完成度と言えそうです。環境によっては篭り感が出たり、分離が良くなく平面的なのでやや音に埋もれ感や塊感はあるものの、598系の音を引き継ぎながらそこそこ安定感のある鳴り方をします。ただ、スマホに直挿しする場合、音量は取れるものの軽い音になっていたので、最低限でもアンプがあると良いかもしれません。
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おわりに
そんな訳で、人によっては誤差の範囲の違いかもしれませんが、3機種には聞いて分かる程度の違いはありました。音の傾向としては良くも悪くも聞きやすいウォーム系で装着感も良いので、原音再現よりも雰囲気を楽しみたいとか実際に試聴して好みが合えば、最初に買うヘッドホンとしては依然として598系や599はお勧めの部類に入ると思います。とはいえ、ここ数年でAKGがいつの間にか随分と安くなっているので、Amazonセール以外では、K701、K702が598SR、CSと同価格帯、K712が3万ぐらいとなると聴き比べた場合価格に対して音質では優位はあまりないかもしれません。
HD500系はリケーブルに対応していて、本体側は2.5mm4芯ですので一応バランスには対応しているようです。ただ、選択肢がほぼなく試しに3500円ぐらいの4.4mmのバランスケーブル購入してみましたが、値段相応なのか599の限界か、思ったより分離感は出なかったなと。ケーブルの材質が良ければというところかもしれません。
余談ですが、HD599SEの定価は通常の焼きプリンよりも高価なんですね。セールで買ったのもありますが、梱包が今までに買ったどのゼンハイザーの商品よりも簡素で、飾り気のない本体サイズのダンボールで、598SRのような廉価版だと思ってました。黒銀仕様にするのに費用がかかっているのかパッケージ分を差し引いてもまだ足りないんだなと。ごく個人的に見た目は黒よりもオリジナルの薄ベージュ+茶色の方が好みです。