GRASS VALLEY リマスターBOX

唐突に昔のバンドに関する記事です。Grass Valleyは80年代後半の日本のバンドです。カテゴリとしてはポップ寄のロックバンドですが、まだビジュアル系の言葉がなかった時代ですので、グラムロックから続くニュー・ロマンティックの流れかと思います。CDは廃盤となっていましたが、ラルクのドラムのyukihiro氏が呼びかけて2019年2月にボックスでの再販が実現したという経緯だそうで、まさか2019年に発売されるとは・・・。という訳で最近知ってすぐに注文して届いたら嬉しくなったもので記事にしました。何気に最近音楽系の話題が続いています。

Grass Valleyは和製JAPANとも呼ばれていて、(JAPANはGVの後からCDを買って聞いたら嵌りました。デヴィッド・シルヴィアンは日本では意外とMONSTERのED曲といった方が通じる気がします)、ロックバンドでありながらビジュアルは精悍で、JAPANに通じるサウンドとボーカルはどこか退廃的でもあり幻想的とも言える世界観を持っています。
グラムロック自体がグラマラスから来ている魅惑的なという意味のため、やや耽美的な雰囲気を持ちます。日本ではビジュアル系バンドと呼ばれるムーブメントが90年代半ばにありましたが、ビジュアル系の言葉が一人歩きするぐらい席巻こそしたものの、中性的、前衛的な見た目の割に音楽性が軒並みパンクやHR/HM寄りだった関係で、グラムロックやシンセメインのニューウェイブ、ニューロマンティックなどの言葉が広まらなかったのかなとは思います。SHAZNAが少しその傾向でしたが違う意味で(女装男子的な)話題になった気がします。

余談ですが、当時の出口氏のビジュアルは妖しい美しさというか、天野喜孝氏が描いた人物を彷彿とさせます。因みにグラムロック(有名なのはデヴィッド・ボウイ)自体は元を辿ればイギリスのパンクにたどり着きます。ヴェルヴェットアンダーグラウンドやセックスピストルズ辺りの60年代、70年代のアンダーグラウンドからファッションを巻き込んだパンクへ、という流れから来ている(この流れはグランジやオルタナティブにつながってポストロックまで続きます)ので、ロック、パンク、実験的要素(電子音含め)、インディーズ、反体制、反主流、あるいはポップとの融合などの何だか大きな流れも見えてきます。

音楽としては、低く絡みつきながら高音まで伸び上がるボーカル、世界観を作り上げるシンセサイザー、激しくも正確に刻まれるドラム、しっかり主張するベース、さりげなく鳴らしつつ曲を要所で盛り上げるギター、など音のバランスが非情に良く、ロックというよりも声も音の一つとして作品を作っている感じで、そういう意味ではポストロック的な方向性も持つともいえそうです。特に3枚目のアルバム「Style」までの、澄み切った夜空を見上げているような、仄暗い中にキラキラ瞬いているような世界観があります。世間的にはマイナーだとは思いますが、唯一無二とも言える音楽性のバンドなので音は後世に残るといいなと思います。電子音メインのエレクトロポップは多いですが、ロックにエレクトロ要素を多めに入れつつトータルバランスで緊張感と空気感のある曲を聞かせるバンドは80年代90年代にはあまりなかった気がします。YMO、P-MODEL(平沢進)、ソフトバレエ(どれも前衛的で個人的にも好きでしたが)もTMN、accessもニューウェイブから続くエレクトロポップ色が強く、LUNASEA、ラルク、シャズナ、その他ビジュアル系はどちらかというとポップやパンクやロックの当時的なバンド音楽だったと思いますし。(バンドではないですが日本人では新居昭乃氏が昔から電子音と生音とボーカルのバランスの取り方良いなということを思い出しました)

歌謡曲からJPOPへ、バンドミュージックへという流れの中でひっそりと欧州の音楽の流れを感じさせながら美しく咲いていたグラスバレーというバンド、お勧めです。リマスターされた事で音圧が増し、音にメリハリが出たことで現代の音楽に混ざっても聞きやすくなっていると思います。嵌る人は深くはまって周辺のJAPANやさらに周辺のグラムロック、ニューウェイブやニューロマンティック、電子音系やグランジ、オルタナ、シューゲイザー、ポストロックを探し始めるでしょう(適当なことを言う)。

因みに自分はリアルタイムで追いかけていた訳ではなく、やや遅れてREVの頃にいい声してる人だなぐらいで聞き始めましたが、出口氏が過去に所属していたということからGrass ValleyのCDを探し(マイナー故か当時地方でアルバムを集めるのは大変で、出先で中古含めてCD屋を探しては覗いても中々見つからなかった)、はまったという経緯があります。因みに出口氏は自分的には珍しく今でも時々出る音源を追いかけている日本人の一人ですが、全体で見るとREVのメジャーポップ感がいかに異色だったかが分かります。それにしても、GV初期の音はもっと色々聞きたかったなぁと改めて思います。

[youtube]https://youtu.be/6dT_Ojrmbcw[/youtube]

[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=rom99MSB4BE[/youtube]

 

公式サイト

https://www.sonymusic.co.jp/artist/grassvalley/