HIFIMAN EditionXSとか

今年も12月1日までAmazonのブラックフライデーセールをしていますので,購入したものや所感を書いていきます.

・HIFIMAN EditionXS
先行セールで見かけて、気になっていたブランド、モデルだったので購入しました。
セール価格で4万円を切っています。昨今の円安傾向以降の値上げラッシュにあって、こういったセールでも大抵以前の価格に戻る程度のものが多い中、評価が安定しているモデルでさらに平面駆動型でこの価格まで下がるというのはお得感があります。

出音の傾向としては、やや距離感のある客観的な鳴り方が独特で、全体的に棘やエッジ、味付けのない薄味でマイルド傾向です。押し出し、パンチ、ニュアンスがあるというよりは、透明度が高く諧調の細かい音を鳴らします。音量を上げすぎずに聞くとどこかスピーカーで鳴っているのを聞いているような感覚もあるかもしれません。
なので、俯瞰しつつ解像度高めに聞きたいという場合には良さそうです。言い換えると、没入感や音の立体感は控えめで平面的にプロジェクションされた精密な絵を見ているような感覚です。そのため、低音の鳴りや臨場感や没入間の面で物足りなさを感じる人もいそうです。もっと聞きたいと思って音量を上げすぎると音が滲むというかキツくなってきます。また、中音高音の解像感に対して、中低音はやや締まりがないようにも思えますが、耳を含めたエージングで若干変わるかもしれません.
平面型だけあってやや鳴らしにくいので、それなりにヘッドフォンアンプを用意して据え置きで聞くのが良いと思います。
ハウジングの大きさもあってか音の鳴っている範囲が大きく、HD800を平面にしたような雰囲気もあります。

近い価格帯の中では、駆動方式もあり解像感やシルキーさで比肩する機種はパッと思いつきません。思いつくのはDT1990ですが、こちらは好みの問題になるかもしれませんが、高音の押し出しもあってすこしコントラストが高めで輪郭がはっきりしてドライに感じられます。その他、MV1はややウェットで、若干音が埋もる感覚もありつつ暗めに思え、EditionXSの方がやや無機質さはあるものの音数が多く整っているように感じられます。
全体的に、ダイナミック型と比べると画でいうHDRのように各諧調が潰れずに保たれているように思え繊細な鳴り方に思えました。ちなみに、SennheiserのHD600系は中低音に少しもやっと感があり、解像感ではHD660S2までいってもちょっと及ばない感じがします(近い位置で中低音に浸りながら音を見分けていく感覚は単純な解像度で測れないHD600系特有の良さだと思いますが)。HD800Sとの比較では、EditionXSの方が大人しくHD800Sの方が音のエッジが立ってパンチがあるかなという気がします(ORBのケーブルで比較したので、純正XLRバランスケーブルだと近いものがあるかもしれない)。ただ、ハウジングの作りもあってHD800Sの方が没入感があります。

他に所持している平面型との比較では、価格帯が大きく異なりますが、高音から中音までの印象はYH-5000SEにも質感は近いものを持っています。臨場感や低音の押し出し、トータルでのプレゼンテーションでEdition XSはやや素っ気なさがあります。価格の差をどこに見出すかというところでしょうか。D8000Proとの比較では、距離感が明確に違います。D8000Proの方が近くより細かい音も見えてきて、ヘッドホンの外に広がる世界を感じさせます。

総じて、こういうものと解って買う分にはコスパという言葉を使うのもどうかと思いますが、購入額に対して得られる性能は高いです。アジアメーカーを避けているというわけではないのですが、食わず嫌いをしているのであれば勿体無いなと思わせる性能があると思いました。ただ、万人に好まれる音というよりは上で書いたようにある種の傾向を持つことは間違いありません。
最大のデメリットはでかくて見た目がダサいことですが、装着後鏡を見ることはないし家で使用することを思えば実用目的では、さほどデメリットにもならないかもしれません。

個人的には、平面型の解像感を求めるのであればいっそ突き抜けてハイエンドまで行った方が音の満足感は高いとも思えてしまうし、普及価格帯ではそれぞれの個性を使い分けしても良いなと思えてしまいます。なので、音質重視で価格を抑えたい場合に、音の傾向が合うならば1本だけもつ場合に沼を避けられそうなモデルだと思いました。自分の好みでいうともう少し何か訴えかけてくる要素が欲しい、と思わせてしまいます。その意味では、同ブランドもハイエンドまでランクが複数分かれているので、その辺りが結局沼になるのかもしれません。

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・そのほか見かけたモデル

・HD599
ゼンハイザーの開放型ではセールの常連です.1万円台前半で購入できるので,最初の1本としては悪くない選択肢だと思います.ただ,硬めな鳴り方でありつつも中低音が多めでもやっとしがちで,上流を含めて気にし始めるときっと沼の入り口になります.

・HD560S
今年に入ってセール対象になり始めました.モデルの特徴としては海外を中心に評価されていて,やや明るめでフラットな特性とシャッキリした鳴り方で,個人的には割と好きなモデルです.価格を抑えめで2万クラスで1本だけ持つならいい塩梅です.