オーディオ用USBケーブル

最近はオカルトと一蹴する人も減ってきたように思いますが、自分も試すまでは金の匂いがするオカルト商品じゃないかと思っていました(半分間違ってないとは思います)。USBに関しては随時記事内で触れてきたので、分散していたものをまとめました。自分で試したものの感想を以下に挙げますが、これらは個人の感想であることと、挙げたもの以外にもあり、コスパの良いものや質の良いものもあると思いますので参考として見て下さい。

また、オーディオ関係のケーブルはUSB以外にも電源ケーブルやRCAケーブルやヘッドホンケーブルなどあるので、全てを高品位にと考えはじめるとキリがありません。なのでUSBケーブルはアンプやヘッドホンのあとに、さらなる向上やハード的な調整のためにこだわる人もいるという程度に見てもらえればと思います。基本的に環境を変えてもヘッドホン+アンプのキャラクターが覆るほどのケーブルはないと思いますので、わずかな差に対して投資するかどうかというところです。

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SAEC sus-380

見た目はごく普通の細いケーブルなのですが、UD505で使っている分には鳴り方が明瞭で低音もそれなりに太くマイルドで落ち着いており優等生的な音のためオールジャンルで聞きやすいです(UD503の付属ケーブルだったという話も)。システムによっては刺激が足りないと感じられるかもしれません。
最初に買ったものだったため妥協している感もあり、もっと相性の良いケーブルもあるんじゃないかと思えてしまい沼にはまりました。
因みに、評判のいいSUPRAを買う予定でなぜかこれを間違えて買っていたという思い出があります。

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Audio Quest Carbon

高音もクリアな低音寄りということで、厚みを出しつつクリアさも出せるかと思い導入しました。確かに低音が増えて音に厚みが出る反面、当初は高音がUA3以上にシャープでした。それなりに情報量もあり、それなりに空間も広がります。ただ、全体的にそつがなく特筆する要素も欠点も見当たらず、良くも悪くも主張が少なめに思えました。安くはないですが十分な効果を発揮すると思います。

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AIM UA3-R010

きしめん状の銀単線のケーブルです。一聴して情報量が多く空間に広がりを感じるのと、なでつけた様に滑らかで背景の黒さが引き立ち、聞きやすさもありながら適度に押し出しの強さやメリハリもあるため人気があるのも頷けます。
銀線はパワーがあり鮮烈とよく言われますが、その傾向の一旦はこのケーブルも持っており、当初は全体のバランスが中高音寄りでクール過ぎる感もしましたが、使い込む内に高音が落ち着き低音が出てきます。全体的に角が取れて、むしろ滑らかでマイルドで低音にパンチのある音に感じられます。落ち着くのに時間がかかるケーブルと言えそうです。環境や音源によっては高音に尖りを感じます。
ケーブル1本に3万以上と高額ですが、馴染むとなかなかそれ以下のケーブルに戻れない、自分の中の基準となっているケーブルです。

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Acoustic Revive USB1.0 SP Triple C

Sus-380が割と好印象だったので同じPC TripleCを探していて行き着きましたが何気にUA3よりも高価という。何だか軽い電線病患者です。
このケーブルの特徴は周囲を取り巻くように空間が広がる感覚です。
当初は重さや厚みが弱く、音もややごちゃっと混在する感覚でしたが、使っている間に音の混在感が薄れました。一方でUA3やGEMINIと比べるとやや空中に漂うような付帯音が多めにも思えて背景が少し明るくいというか、やや腰高に感じられるかもしれません。USBを2口占拠するのは痛し痒しだなと。

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iFi Audio GEMINI 3.0

アコリバのSP TripleCと同様に電源が分離しているタイプのケーブルです。ケーブルの作りは幅広のきしめん状で、高級感のあるオレンジとゴールドの編み込みの被覆になっています。
音に与える影響としては、SP Triple Cの様に空間が広がりながら、低音が落ち着いて重心が低く背景の黒みが増して安定してしっとりとしています。

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余談:プリンターのケーブルとか

いつのかもわからないその辺にあったUSBケーブルで接続してみました。全体的に音像がぼやけていてノイジーです。言い換えるとマイルドと言えなくもないですが、明瞭さやメリハリ、音の分離や広がりという点においてはオーディオ用、それも高価なものはこの辺りが非常にクリアになります。この音で妥協するのであれば高価なヘッドホンもDACもアンプも本領を発揮しにくいと思います。

また、エレコムの安価なオーディオ用ケーブルも試してみましたが、プリンター用ケーブルと比べるとノイズ感が抑えられて音像がすっきりするので、最低限リスニング用途に偽りはないのかなと思いました。ただ、他のオーディオ用ケーブルと比較するとやはり音像がややこぢんまりしており、クリアさや味付けといったところも物足りなさを感じてしまいます。

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おわりに

USBはデジタルデータだからケーブルで音質が変わるのはおかしいという説も根強いと思いますが、こればかりは聴いて確かめてくれとしか言えません。オーディオUSBはRCAケーブルなどと同じくリアルタイムに信号を送って処理しており、送信中はケーブルの質やノイズが音へ変換した際に影響が出るという事のようですが…。正直なところ誰もが納得できるような計測や理屈を知りたいです。PC環境はノイズだらけだったりするので、アイソレーションの具合によってUSBケーブルの効果が現れやすいのかもしれません。

ケーブルに凝るまではここまで差が出るとは思わなかったのですが、クリアさや高音質を目指すとキリはなさそうです。とはいえ、UA3以上はやりすぎ感があると思いますので、自分的にはこのあたりが効果を実感できつつ現実的な上限のようにも思えます。
また、何本も購入して気づきましたが、導入してすぐは低音が出ずシャリついた印象で、こなれていく内に高音が落ち着き、低音が出てくるという傾向は共通のようです。UA3は特にその変化が著しかったです。

それにしても、ビジネスだからしょうがないところもあると思うのですが、音響メーカーはLANの使用でも無線でもなんでも、どんな環境でも安定した音質で鳴らすことができるシステムを普及させて欲しいなというのが本音です。リスニング専用の仕様として遅延を許容してケーブルを問わずDAC内で完全データをメモリ内にバッファしてから再生するとか。その意味ではまだ伸び代のありそうな完全無線ヘッドホンにも期待してる部分があります。

最近はPCオーディオで直USBから離れる流れもあります。例えばLAN DACと呼ばれるような、DACにLAN端子がついていたり、DirettaなどのUSBブリッジを使用して一旦ネットワーク経由でDACをUSBで繋ぐ機器が出てきています。合わせて、ネットワークもオーディオ用のハブや光アイソレーションも使用してPCや機器由来のノイズをいかに減らすか、機能を分散して安定させるかというのがトレンドになってきているようです。